主力上場21社の時価総額合計は25兆円ある。
戦後は財閥解体の憂き目にあうが、日本の高度成長にあわせ、
化学や重工業、自動車などの製造業から金融・保険、流通、商社などに事業を拡大。
現在も4000社超の企業群を掲げる。
この巨大クループが再成長に向けて歩み始めようとしている。
デジタル時代に価値を生むのは、データやソフトウエア、アルゴリズムといった
無形資産である。
有形資産から無形資産の事業に大きく舵を切ろうとしている。
三菱商事は、
2019年2月にはインドネシアの配車大手ゴジェックに既存株主と合わせて
約1100億円を出資した。
NTTと共同でデジタル地図の世界大手、オランダのヒアテクノロジーズとも
資本提携した。
ゴジェックやヒアが持つデータやノウハウを活用して、新しいモビリティーサービスを創出することを狙うのである。
グループ4000社超の経営資源は強みである。
三菱の強みは消費データを基にニーズに合った商品やサービスを開発し、
商品開発に必要な材料や資源の調達まで一気通貫で手掛けることができる
供給網にある。
「各企業の持つ知見を横串にして新事業を創出できるか、この数年が勝負だ」と
三菱商事の垣内威彦社長は話しておられる。
三菱グループは、戦後日本経済を支えてきた産業が苦境にあえぐ中でも、
絶対的司令塔といえる。
三菱の復活が日本の産業再生の起爆剤になると考えられる。
(日本経済新聞 2020年10月17日 朝刊 藤本秀文さん 参照)