2020年8月9日に商船三井は、
同社が手配した大型貨物船がインド洋の島国モーリシャス沖で座礁した問題で、
現時点で船体から1千トン以上の重油が流出したこを明らかにした。
流出事故の賠償は船主が負うのが原則で、
海難事故の責任を規定するのが
船主責任制限条約とバンカー条約である。
海洋での油濁流出事故の場合、一般的には船の所有者が賠償の義務を負うのだが、
商船三井は座礁した船である「わかしお」を、所有者の長鋪汽船から借りている。
船主責任制限条約は、海難事故によって生じた損害の船主の賠償責任を船舶の総トン数に応じ上限額を決め、「わかしお」は約10万トンである。
海難事故に詳しい戸田総合法律事務所の青木理生弁護士によると、
上限は20億~70億円に制限される可能性があるとの見解を示した。
通常、船主が加入する保険は油濁損害について最大10億ドルの上限が設定されている。賠償額は船主の責任保険内で支払える可能性が高いという。
商船三井は「船を借りる立場だが社会に与えた重大な影響を踏まえ誠実に対応したい」と説明した。
座礁地点の近くには野鳥の保護区があるなど環境への影響が懸念され、
世界的にも注目が集める海難事故に発展するかもしれないが、
商船三井は、この法的責任が果たせる企業であると思う。
従って、自分に資金ができれば株主になって応援したいと考えている。
(日経新聞 2020年8月10日 朝刊 参照)