住宅ローン減税をめぐる政府内の見直し議論が活発になっている。
政府・与党は2021年度の税制改正で13年間の控除を認める特例の延長を議論する方向だが、隠れた重要な論点もある。低金利の中で控除率の「1%」は妥当なのかどうかである。
会計検査院が問題視しており、2020年以降の税制改正論議で焦点になる可能性もある。
2019年11月に会計検査院は決算検査報告で,「国民の納得できる必要最小限のものになっているか検証が望まれる」と、住宅ローン減税について指摘した。
住宅ローン減税は、
年末の借入残高の1%が所得税から控除される仕組みである。控除額は最大で年40万円、期間は10年間。認定長期優良住宅などは年50万円に拡充される優遇措置もある。
現在の住宅ローン減税制度は2021年末に期限を迎える。財務省は今冬の政府・与党の議論の俎上に上げたい考えだが、新型コロナウイルスの流行を受け利用者の負担増につながる話には与党内の反対論が強い。財務省は提起する時期を慎重に見極める予定である。
戸建て住宅やマンションを購入する際、当然視しがちな「1%」も不変ではないと考えて議論すべきである。
(日本経済新聞 2020年10月3日 電子版 参照)