木造住宅「ムービングハウス」を災害時の仮設住宅として活用する取り組みが注目されている。
トレーラーで運べる移動式のため設置が簡単にでき、再利用できるためコストを抑えられる。発生から約3カ月となる7月豪雨の被災地である熊本県球磨村にも設置された。定着には供給体制の強化が課題で、普段は宿泊施設などとして利用しながら備蓄する計画もある。
普及に取り組む一般社団法人「日本ムービングハウス協会」(北海道千歳市)によると、同ハウスは海上輸送コンテナと同サイズ(長さ約12メートル、幅約2.4メートル)で広さ約30平方メートル。
気密性や断熱性、遮音性が高く、球磨村では連結して3LDKに広げ、大人数の世帯も受け入れている。
工場でくみ上げてから被災地に運ぶため、最短1週間ほどで設置できる。仮設住宅の役割を終えると再び運び出すので解体費もかからない。
設置基準は現在では約571万円であるが、
2018年の北海道胆振東部地震では窓を二重サッシにするなど寒冷地仕様にしたため、費用は1戸あたり1200万円(解体費など含む)になる。
しかし、北海道むかわ町に設置されたムービングハウスは約450万円である。
仮設住宅に詳しい東北大公共政策大学院の島田明夫教授は
「設置が容易で居住性能も高く、普及を推奨していくべきだ」と指摘しておられる。
「土地が限られる首都圏などでは3~4階建てで設置するなど、使い方の検討も重ねる必要がある」と話しておられる。
日本は自然災害に見舞われることが多くなった。
もしもの時の備えとして考えておこうと思う。
(日本経済新聞 2020年10月5日 電子版 参照)
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