東電の原発再稼働

東京電力ホールディングス(HD)の

3カ年中期経営計画によると、

柏崎刈羽原子力発電所が2024年3月期まで稼働しない場合、

同期の連結経常利益は来春稼働の場合と比べ

750億円減るそうだ。

取引金融機関は新規融資に慎重姿勢を強めており、

再建計画に遅れが出そうだ。

 東電は

収益力低下に伴う現預金の減少リスクに備え

財務基盤の強化を急ぐ。

とりあえず、

2022年3月期は公募債の発行で3600億円、

金融機関からの新規借り入れで4000億円超をめざす。

東電はこうした資金調達などを通じ、

成長につなげる戦略投資には2022年3月期に

1000億円を確保する考えである。

東電は前期中に事業再建計画である

第4次総合特別事業計画を公表する予定だった。

しかし、

柏崎刈羽原発で東電社員がIDカードを不正利用する不祥事が起きたほか、

福島第1原発から出る処理水の扱いが見通せなかったことが響き、

いまだに公表できていない。

東電は

中計をもとに原子力損害賠償・廃炉等支援機構と総特をつくる。

原発を動かせない状況が長引くほど、

福島の復興や廃炉に必要な資金を安定して稼ぐことができない。

処理水を海洋放出すれば

福島第1原発事故に伴う賠償はもっと膨らむ可能性もある。

賠償資金の一部は電気料金に上乗せされており

国民負担も増え続けるため

原発は一時再稼働せざるおえないのではないかと

考えられる。

日本経済新聞 2021年4月26日 電子版 参照)