伝統建築物の劣化を人工知能(AI)が判断する時代へ。

文化庁は、城や寺院、古民家といった木造建築物の劣化を人工知能(AI)

が点検するシステムの試験運用を2021年度にも始める計画である。

自治体職員らが撮影した画像を基に劣化の程度をAIが判定する。

文化庁によると、国宝や重要文化財の修理が必要かどうか判断できる技術者は

全国に100人程度であり、高齢化や後継者不足に悩まされている上、

自治体の文化財担当職員も減少傾向にある。

これらの問題を人工知能で補う計画である。

 

 

本来、文化財の価値を損なわないように対策を取るため、

国宝や重要文化財の場合、文化庁が認めた技術者が調査し、保全のための補修方法などを決める必要がある。

近年は豪雨が相次いでおり、自然災害への備えも課題となっている。

文化財の維持管理では、寺院や古民家などの歴史的な建造物は、

天候や湿気で特に屋根や柱が傷むほか、鳥獣や虫による被害が

目立つケースもあるのである。

 

文化庁は、これらの劣化状況の把握だけでなく、修復が必要な箇所をAIが

特定することもできるようにしたいと考えている。

データを蓄積することであと何年程度で修理が必要となるかをAIが判定できるようにも計画している。

画像に加えて瓦をたたく音の響きを記録してAIが状態を確認できるかどうかも

検討を進める。

 

技術者不足が日本の伝統建築の維持・保全にまで影響しているのであるから

AIの活用は急務であると思われる。

日本経済新聞 2020年10月20日 電子版 参照)