近年、地価は都市部の再開発や年3千万人を超えた訪日客の旅行需要で
上昇を続けてきたが、頭打ちをしたようだ。
公示地価(1月1日時点)は2020年まで5年連続で騰がり、地方でも上昇の動きが
広がり続けていたのだが、
国土交通省が8月21日に発表した4月から7月にかけての
主要都市100地区の動向を見ると、下落した地区数は前回調査(1~4月)の
9倍超に急増したのである。
新型コロナウイルスによる経済活動の停滞が地価を押し下げ始めた事実を
如実に示したデータである。
緊急事態宣言後、急速に社会に浸透した在宅勤務の拡大に合わせ、
都心部のオフィス面積を減らそうとする動きが広がる。
地価上昇のけん引役だった大都市に地価の下落要因が次々とのしかかっている
のである。
下落が目立つのは、外出自粛や休業要請で打撃を受けた繁華街の多い大都市圏である。大阪圏では、下落地区の割合が全25地区中17カ所と約7割に達した。
名古屋圏は、9地区全てが下落した。
東京圏は、横ばいの地区が全体の9割弱と、大阪と名古屋に比べて踏みとどまったが、東京を代表する繁華街は厳しいのが現実である。
新型コロナによる経済の急収縮が今後も続くようならマネーが不動産市場から逃避
し続け地価は下落の一途を辿る可能性がある。
一刻も早くコロナが収束し地価下落の底打ちが来るように願っている。