2020年9月11日、
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、開発中の次期主力ロケット「H3」初号機
の打ち上げを当初計画の2020年度から2021年度に延期すると発表した。
三菱重工業などが開発を進めているエンジン試験を5月に実施した後、
タービンの一部などに不具合が見つかり、再設計などの対策が必要だと
判断したのである。
JAXAによると、LE-9エンジンの燃焼試験後の点検で、燃料を燃焼室に送り込むターボポンプのタービンの翼にひびが生じていることや、燃焼室の壁に細長い穴が開いていることが見つかった。
タービンのひびは振動が増幅する共振が原因と考えられ、設計を変更しないといけない。燃焼室の穴は設計値を超える高温になったためと推定され、こちらも冷却の強化などの対策を取る必要がある。
当初H3の総開発費は約1900億円と見込まれていたが、上記の原因で開発が遅れるためコストは膨らむ可能性が出てきた。
ウオーレンバフェット氏は、投資に必要なことは何か?との質問に、
「忍耐」であると言っていた。
三菱重工業の明るい未来に期待したい。
(日本経済新聞 2020年9月12日 電子版)