2020年8月4日、
日本製鉄に賠償を命じた韓国の元徴用工訴訟を巡り、
同社に資産差し押さえの書類が届いたとみなす「公示送達」の効力が生じた。
日本製鉄は同日、不服を申し立てる即時抗告を表明した。
朝鮮半島出身の元労働者らが日本統治下で日本企業に
強制的に働かされたとして訴え、
原告側が勝訴していた。
原告団はこの勝訴判決に基づき、日本製鉄が鉄鋼大手ポスコと合弁で設立した
企業の株式約19万4千株を差し押さえている。
4日に公示送達の効力が生じたのはこのうち約8万株である。
2003年に発効した日韓投資協定の2条では、
財産の設立や経営などで自国の投資家より不利にならない待遇を相手国の投資家に
与えると定める。
日本政府関係者は
「当該協定の基本理念がうやむやになれば日本企業は安心して投資できない」と話す。
日本と韓国で確認したルールが一方的に覆る環境は企業にとって危険だからである。
日本政府は、国際司法裁判所や世界銀行傘下の投資紛争解決国際センターへ
の提訴も視野に入れる。
しかし、裁判や仲裁は当事国双方の同意が必要になり実現性が乏しい。
韓国政府が打開に動かなければ、日韓の対立はさらに深刻になる危険性がある
と思われる。
日本製鉄の株主としては気になるニュースである。
(日本経済新聞 2020年8月5日 朝刊 参照)
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