損害保険ジャパンは、日本の大手損保で初めて「脱石炭」の姿勢を明確に示す。
環境や人権に悪影響のある事業への関与を回避するため、
保険の引き受け基準にESG(環境・社会・企業統治)のリスクを採用するのである。
2020年12月からは石炭火力発電の新設工事の保険引き受けを原則停止する方針を固めた。
国連傘下の国連環境計画(UNEP)と世界各国の金融機関でつくるUNEP金融
イニシアチブは2020年6月に損保業界向けにESGリスクへの対処法を示した。
損保ジャパンは世界の投資家や国際世論の変化を見据え、
「グローバルスタンダード」に適法した手法を採用する。
ESGリスクを盛り込んだ「建設工事保険」に電力会社や商社が加入できなければ、
工事中にプラントが自然災害や事故によって損害を受けた場合に補償を受けることが
できず、事業融資(プロジェクトファイナンス)による大規模な資金調達が難しくなるのである。
日本の保険業界にも世界の潮流である脱炭素の波が押し寄せ、
一気に変革が進むであろう。
(日本経済新聞 20209月16日 朝刊 参照)